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ありがとう MR-S

MR-S1

古くからの知り合いに「稲荷町」さんという方がいます。
もちろん本名ではありません。ブログでのお名前です。
ちなみに、この稲荷町さんは、僕の「ブログの大先輩」です。
長年『賭場をゆく』という物騒なタイトルのブログをやっているのですが、
なかなかの雑文の名手です。
地方の競輪場に遠征された時などに、その競輪場の食堂の名物を
紹介したりするのですが、味噌の香りが漂ってきそうな臨場感です。
僕は、あまり他の方のブログを広く読むほうではないのですが、
稲荷町さんほど達者な書き手には、あまりお目にかかったことがありません。
時折、ちょっとお堅い新書の書評を載せるのですが、
その本のツボが押さえられているため、彼の書評を読んだだけで
その本を読んだ気になって、誰かに話せてしまう(笑)あたりがすごいです。

そして、時々載せるマンガ評や映画評が、とても楽しみです。
彼の書評を読んで「あまり僕の好みではないな」と思ったマンガは、当然買いませんが、
「これはおもしろそうだ」と思った時に買ってみると、これが、ものの見事に僕のツボなのです。
まあ、おそらく僕と稲荷町さんの作品の好みが似ているだけかもしれませんが、
これまで『おおきく振りかぶって』や『君に届け』など、たくさんの名作を教えていただきました。


さて先日、そんな稲荷町さんに浅草を案内されてゴチになった時のことです。
「お前さんのブログのヤマホンの記事を読んで自転車に乗りたくなったんだけど、
 何かお勧めの自転車ある?」と言われました。
うれしかったですねぇ。
僕の拙い雑文を読んで頂けてだけでもうれしいのに、
それをきっかけとして、自転車に興味を持ってもらえたなんて。
おまけに予算を聞くと、え?! 10万?!
いきなり10万円ですか? 
三競オートをやる方は、一般庶民と金銭感覚が違いますねぇ。

しかし、僕がお勧めして10万円の自転車を買ったのはいいけど、
それで自転車のおもしろさに目覚められなかったら、
それは稲荷町さんにとっても、自転車にとっても不幸なことです。
う~ん、これは責任重大だぞ・・・

そこで閃いたのが、いま僕が乗っているMR-S。

MR-S2

10年以上前の古いマウンテンバイクですが、元々は10万円の高級車です。
そして、数年間、くぼ太さんちのベランダで放置されてはいましたが、
約1年前に僕がもらって、プロショップでレストア済みです。
その際、マウンテンバイクのデコボコのタイヤの換わりに
セミスリックという、なめらかなタイヤに換えましたが、
この38C(38mm)という、クロスバイクにしては少し太めのタイヤは、
ちょっと太め、体格のいい稲荷町さんが乗っても、乗り心地がいいはずです。
そこで、
①乗ってはみたけど、結局自転車にハマらなくて乗らなくなったら
②自転車にハマって、別の自転車を買って、MR-Sに乗らなくなったら
返して頂くという条件で、永久貸与させていただきました。

こんな経緯で、MR-Sは稲荷町さんに乗ってもらうことになりました。
2011年5月に、くぼ太さんに譲り受けてから、
2012年4月に稲荷町さんに譲るまでの約1年間の総走行距離1704km。
毎日のジテツー(自転車通勤)の脚として、週末のサイクリングの脚として、
MR-Sには、とてもお世話になりました。
これからは稲荷町さんを、あちこち連れて行ってあげてください。
ありがとうMR-S。

スポーツバイクの素人である稲荷町さんがMR-Sにハマってゆく過程は
『賭場をゆく』をご覧いただければと思います。
                              【エージェント高杉】
◎リンクは、こちら
 稲荷町さんのブログ 『賭場をゆく』
 『賭場をゆく』の中のMR-Sの記事「自転車日記①」「自転車日記②


『すみれファンファーレ』

この 健気な少女に ひとめぼれ!
『すみれファンファーレ』 第1巻(以下続刊)   松島直子


すみれファンファーレ(1)


花粉症持ちの自分にとっては試練の時季であった春先の花粉シーズンもようやく
峠を越し、最近はティッシュの消費量もめっきり少なくなってきた。
いい歳をしたおっさんが四六時中ティッシュを携え、日がなグズグズと泣き腫らした
顔をしていては男子の沽券にかかわる! …などとは言わぬまでも、ただでさえ潤いに
乏しいおっさんの枯れた身体から、かくも大量の水分を放出し続けるのは堪らない。
よし、当分はもう滅多なことでは泣くまい!
これ以上枯れた(干からびた?)おっさんにならぬよう、失われた貴重な潤い分の
回復に努めなくては!

…と、思っていた矢先に、本作『すみれファンファーレ』を読んでしまったのは何とも
不覚だった。
そう、全く不覚にも… もはや絞りかす同然の身体の一体どこに、こんなにも水分が残って
いたのか不思議になるくらいに、おっさんは大泣きしてしまったのだった…。
来年の花粉シーズンまで取っておくつもりだった高級保湿ティッシュの最後のひと箱を
開けざるを得なくなるほどに、またも涙と鼻水のおっさんに逆戻りである。

もっとも、それはあの憎っくき花粉による不快な涙などではなく、
『すみれファンファーレ』という作品に流れる、なんとも形容しがたい優しさに触れた
ことによる、実に心地よい涙だったのだが…。


   小学4年生の女の子「川畑 菫(かわばた すみれ)」は
   両親が離婚してお母さんとふたり暮らし。

   でも、大好きなお母さんや一番の友達「みんみ」
   そしてまわりの大人たちと一緒に、
   明るく心優しい彼女は、毎日を元気に過ごしている。

   離れて暮らすお父さんに会いに行ったり
   家庭教師のおにいさんと大好きなTVドラマ『相棒刑事』を観たり
   「みんみ」のお父さんの車でドライブに出かけたり…

   今日もまた、そんなささやかな、そしてかけがえのない
   すみれちゃんの一日がはじまる!
  

あらすじにすれば、あまり大きな山場もなさそうな日常モノ作品のひとつであり、
特に目新しいものとも思えないかもしれない。
また、素朴な雰囲気の可愛らしい絵柄も、いわゆる「押しの強さ」を感じるような
こともない、実に慎ましやかな印象である。
私自身、本屋で見かけてつい衝動買いしたものの、正直、それほど大きな期待を持って
いた訳ではなかった。(失礼ながら、この時点では。)
第一印象としては、マンガ作品というよりもむしろ「絵本」に近いイメージで、
主人公と同じ年頃の女の子向けの作品かな? と、勝手に思い込んでいたのだ。
そして、たまにはこうした児童文学的作品もいいかも…などと、いささか高をくくって
無防備に読み進めた結果が、前述の「涙と鼻水のおっさん」の姿である。

本作を読んで流す涙は、どうにも巧く説明するのが難しい。
ピンポイントで涙腺を直撃されるような劇的展開がある訳でもなく、遠い昔の思い出を
強烈に呼び起こされるようなノスタルジーがある訳でもない。
劇作上唯一の非日常性とも言える「両親の離婚」ですら、そのことをことさら感動に
結び付けようとしている風もない。
作品全体から受ける印象は、第一印象で感じたときそのままに、実に素朴で慎ましやかな
ものである。

にもかかわらず流れるこの涙は何だろう? と考えると…
それは、言うなれば主人公「すみれちゃん」への共感の涙というところだろうか。
それほどに、すみれちゃんは良い子なのである。
少々補足しておくなら、いわゆる「道徳」の教科書(今は「道徳」って言わない?)に
出てくるような、作為的で現実味の無い「そんな子どもいねーよ!」的な「良い子」ではなく、
この世界のどこかに居てもおかしくはないくらいの存在感溢れる、とても身近な良い子なのだ。

ただ純粋に大好きなお父さんを、お母さんを想い、
恥じらいながらも将来の夢を語り、
一番の友達を笑顔にするためにちょっと無理をしたり、
そして、自分が決めたことを最後までやり遂げようと頑張ったり、
でも、勉強はあまり好きじゃなかったり、子どもらしい迂闊さもあったり…

そんな彼女が明るく健気に毎日を過ごす姿こそ、この世界のどこかに必ず存在している
はずの、現実の「良い子」の姿なのだと思えてならない。
こうしたささやかで慎ましやかな、しかしそれこそがとても大切な子どもの純真な良心が、
フィクションの中だけのものであるはずはないと信じたい。

すみれちゃんは、ともすれば子どもの純真な良心など忘れてしまいがちな大人たちに、
もう一度その存在を思い出してもらうために現れた、この世界の全ての「良い子」たちの
代表選手のひとりなのかもしれない。
だからこそ、私のような決して純真とは言いがたい大人でさえ、彼女の存在そのもの
こそに感じる愛おしさに、図らずも涙してしまうのだろう。
彼女が見せる満面の笑顔も、くしゃくしゃの泣き顔も、どれもみな思わず抱きしめて
あげたくなるほどに、どうしようもなく愛おしい。

…いや、決してロリコン趣味などではないので、念のため。


すみれファンファーレ-1


この『すみれファンファーレ』は、作者 松島直子にとって初の単行本作品らしいが、
これは何とも今後の活躍が楽しみでならない作家が現れたものだ。
素朴で温かみのある絵柄は、前述のとおりマンガというよりも絵本のような印象が強い。
それでいて、そうした素朴な絵柄のイメージからは想像出来ないほど、人物の心理描写を
丹念に追った、まるで映画を観ているようなコマ運びが随所に見られる場面構成は、
驚くほどに奥深い。

また、決して親和性が高いとも思えないそれらふたつの個性が、決して相反することなく
一体となって、見事に調和が取れた作品に仕上がっていることは更に驚きであって、
これこそが作者 松島直子の最大の魅力であると思えてならない。

いずれにせよ、
この、とても上質な絵本と 良く出来た映画が融合したかのような
『すみれファンファーレ』という作品と、他ならぬ すみれちゃんというひとりの魅力的な
少女に、私は完全に「一目惚れ」なのである。

…いや、決してロリコン趣味などではなく。
重ね重ね、念のため。

                                           【くぼ太】


1204-#3-4コマ


『すみれファンファーレ』第1巻(以下続刊)
著者:松島直子
小学館IKKIコミックス 定価:581円+税

釜石の奇跡

津波

この写真は、東日本大震災の津波によって被災した釜石市の鵜住居(うのすまい)小学校である。
よく見ていただくと、画面の中央やや左、自動車が3階の教室の窓に突き刺さっているのが分かる。
あの日、校舎の3階より高いところを、自動車を押し流すほどの激しい津波が襲った。
そして、自動車が突き刺ささるわずか数十分前、この3階の教室には、下校直前に地震に遭った子どもたちが、
教師の指示により津波から避難していた。
 
鵜住居小学校は、市が想定した津波想定浸水区域(ハザードマップ)よりも、150メートルほど内陸にある。
もし私が教師であっても、地震後の、いつ津波が来るかもしれない同じ状況にあったら、
子どもたちを一番安全だと思われる3階の教室に避難させたであろう。
しかし、ハザードマップの想定を遥かに超えた津波は、数十分後にこの教室を襲う。
300人を超える子どもたちと教師の命は、もうすぐ終わろうとしていた。

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ついに完結・最終回! 『あの夏で待ってる』/『Another』

ついに完結・最終回!
『あの夏で待ってる』/『Another』
  TVアニメ(2012年放送作品)

※ 『Another』の「謎解き」に関するネタバレはありません

Another・③・イラスト

『またかよ!!』
…というお叱りをものともせず「また」取り上げるのは、
2012年冬アニメの中でハマっていた『あの夏で待ってる』『Another』の
2作品である。
ついに迎えた最終回!
どちらの作品も、取り上げるのはこれが正真正銘最後として、どうかもうしばらく
アニオタおっさんの戯言にお付き合い願いたい。

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『あの夏で待ってる』 (全12話)

いつものとおり、8ミリ趣味全開目線での感想としては、
ひとことで言って…

 やっぱり 8 ミ リ 映 画、あ ん ま り 関 係 ね ぇ ~ !! である。

映画制作設定自体は否定しないが、あえて8ミリフィルムである必然は
ついぞ感じられなかった。
これ、ビデオ映画でもいいんじゃね? という疑問を払拭することは、やはり難しい。

以前に書いた(3月12日記事)、私が想像したベタなラストシーン予想…
「音の無い8ミリ映像の寂寥感」的な展開(海人がスクリーンの中の声なきイチカを
見つめる)に重なるラストシーンが実現したのにはいろいろな意味で驚いたが、
このシーンについても個人的には非常に残念なところがあった。

作中の8ミリ映画のタイトル映像(「山乃檸檬 Presents 未完成版」のタイトル)に
かぶせてエンディング曲を流し始める表現は、はたしてどうなのか!?
これでは、観客(番組の視聴者)の耳に届くこの曲が「海人たちの映画から流れる音楽」
なのか「『あの夏で待ってる』という作品の劇中音楽」なのかが、曖昧な印象になってしまう。
(ビデオ映画のイメージで観ると、音楽が入っているのに何で声が出ないの?と思われる
可能性があり、この時点での8ミリにはまだ「音」が入っていないということがわかりにくい。)
それに、フィルムを観ている海人たちの耳にもこの曲が聞こえているのか否かは、
このシーンの演出上非常に重要なことと思うのだが、何ゆえこうした「どちらとも取れる」
表現にしたものか?


素人の分をわきまえず言わせていただければ、
暫くは一切の音楽を入れず、ただ映写機がフィルムを送る効果音だけの全くの無声映画と
するほうが、イチカを想う海人のみならず、柑菜が、美桜が、哲朗が、
それぞれこの夏に抱え込んだ「寂しさ」を噛みしめる様を、より強く訴えかけることが
出来たのではないだろうか? と思わずにいられない。
エンディング曲はその後で、純粋に劇中(番組中)音楽としてフェードインさせる
ような展開としても、全体の演出意図を壊すようなことはなかったろうに…
などと思ってしまうのは、観る目のない素人演出家の浅はかさなのか?

ただ、経験からくる実感として、暗がりに響くフィルム送りの音の寂しさときたら…もう…
楽しいはずの試写会でもなぜかしんみりしてしまうほどの「魔力」があることを思えば、
この「寂寥感」を最大限に活用しない手はないと思うのだが、なんとももったいない。

このラストシーンは、本作の8ミリ映画設定に十分な意味を持たせる最後のチャンス
だっただけに、返す返すももったいない!と思わずにいられない。


…などと、8ミリのことだけ延々と熱く(暑苦しく)語るのも何なので、
以下、本作の「良かった点」及び「ハテナ?な点」を簡単に。

《 良かった点 》

 ・終始安定していた作画

 ・いずれもキャラクターのイメージに合った声優陣
  (特に、第9話、柑菜の『海人くんが好き…好きなの…』の泣き芝居は良かった。)

 ・ラストカットに「ある小道具」を使うことによって、この物語の結末の方向性
  (悲劇的結末なのか否か)をさりげなく示唆するような心憎い演出
  (このほかにも演出の妙が冴える場面が多々あり。)

《 ハテナ?な点 》

 ・そもそも、主人公とヒロインがあそこまで惹かれ合う理由がよくわからない?
  (いささか身もふたも無いがこれが本当に理解出来なかった…。「一目ぼれ」?)
  (このふたりに感情移入が難しかったのは…単にモテない男の僻みなのか?)

 ・沖縄撮影旅行のエピソードは必要だったのか?
  (あの「夏」を印象的に描くはずが、南国=常夏のイメージのある沖縄に行くのは
  もったいなくないか? もっと地元での「夏」を描くべきでは?)

 ・画面からもう少し「夏らしさ」が感じられればなお良かったのに?
  (うだるような暑さとか、圧倒的な陽射しとかの雰囲気がイマイチ感じられなかった?)
  (それに、主人公の黒のハイネックは…夏らしさがまるでないだろ!)

 ・物語が大きく動くところで「宇宙人設定」(MIB含む)が便利すぎ?
  (ふたりに立ちはだかる障害とか、その解決方法とかに「宇宙人」的お約束が多用され過ぎ?)
  (もっとふたりの心情面を真っ向から掘り下げられる余地もあったのでは?)


…等々、良かったところもそうでないところも多々あるが、これはあくまで私個人の
主観的感想である。
どうも、よかったところ以外の面についてを多く挙げてしまいがちだが、
アタマの古い8ミリマニアの懐古趣味からくるハードル上げ効果が多分に働いていると
思われるので、まあ「話半分」にお聞きいただきたく思う。
私が執着する8ミリ設定を除けば、本作は完全なるラブロマンスものである。
(そりゃあもう…観ていると背中がムズムズするくらいに!)
決定的に恋愛経験に乏しい私のようなおっさんには何十回と観かえしても気づかない、
理解出来ない価値が、まだまだ隠れていてもおかしくはない。

おそらくは、
仲間が集ってワイワイと何かを成し遂げようとする夏を、
好きな人に対する想いに喜び、そしてどうしようもなく苦しむ夏を、
今まさにそんな「あの夏」を実感することを許された青春期の若者たちが観ればまた、
本作は違った味わいのある作品となるのだろう。

既に青春期の「あの夏」など忘却の彼方のものとなってしまった(あるいはそもそも
そんな「あの夏」など無かった!?)年寄りがヒネた目で観ていては、本当の意味で
本作を味わうことは出来ないのかもしれない…。

よし!!
今年の夏は、失われし我が「あの夏」を探しに、久しぶりに8ミリカメラを携えて
どこかに出かけてみようか。

有給休暇… 取れるかなぁ?(やっぱおっさん!)


 ◆おまけマンガ
 <『あの夏で待ってる』なんちゃってパロ1コマ>


あの夏で待ってる・③・イラスト
   ■KIB(カンナ・イン・ブラック) 柑菜… 黒すぎ!


前回記事はこちらから→『あの夏で待ってる』第2回記事

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『Another』 (全12話)

ここしばらくその結末が非常に気になって仕方がなかった本作も、ついに最終回。
当然ながら「死者」の正体も明かされ、物語は終幕を迎えた。

言いたいことは山ほどある。あるのだが…
この作品の感想については、何をどう語っても即ネタバレとなる可能性があることから、
なかなか表現が難しい。
ひとことで言えば、全体のクオリティは総じて高レベルだったことは間違いないだろう。
気になる「結末」までを観たいま、全てに満足という訳ではもちろんないが、
個人的には「好きなアニメリスト」に追加したい作品である。

以下、出来るだけネタバレを避けるため、最終回まで観た上での「良かった点」及び
「ハテナ?な点」を簡単に挙げてみる。
観ていないひとにはよくわからない表現もあるかもしれないが、何とぞご勘弁を。
(詳しく書くとネタバレが…というジレンマが。)


《 良かった点 》

 ・最後まで高水準の作画クオリティが保たれていた!
  (大抵のアニメでは「こんなもん」感がある自動車の描写のリアリティは驚き!)
  (以前に触れたテープレコーダーの描写なども含め、キャラクター以外の物体が
   きちんと描かれていることによって画面のリアリティが非常に高い。)

 ・声優、巧い!
  (特に11話の杉浦さん! とても「日曜朝のあの子」とは思えない!?)

 ・そこはかとない恐怖の余韻を残すラストシーンがいい味出してる!
  (最後のモノローグ「まわりのみんなとよく相談して…」が効いてる!)
 
《 ハテナ?な点 》

 ・最終回で「現象さん」が頑張りすぎ!(というか、監督が頑張っちゃったのか?)
  いささか恐怖のインフレ状態が…。
  (序盤はあんなに怖かったのに… これでは「もう何も怖くない」?)

 ・11話~最終回での各キャラの行動原理の描き方が、やや雑になってしまった?
  (慌てて当然の場面でもみな妙に落ち着いているとか(芝居のタイミングが悪い)、
   某キャラの「ブッ飛びスイッチ」が入るに至るまでの描写がない唐突さとか、
   大小あわせて。)
  (これによって、それまで保たれていたリアリティがだいぶ損なわれてしまったのは
   何とも残念。)

 ・「死者」の事前の描き込み、判明するくだりの描き込み不足
  (「現象さん」の暴走でこちらが疎かになってしまった?)
  (結果、主人公の葛藤に少々唐突感が…)

 ・「死者」特定の決め手が…
  (いや、推理では結局決めようがないのはわかるけど… なにかこう…)
  (でも、これは原作でも同じことか?)

 ・赤沢さん………


…と、いつにも増して意味不明な書き方で何だが、ざっくり言ってしまえば、
「最終回(第12話)は やや疑問符が付く部分もあるものの、全体としては上出来」と
いうところ。
映像化が難しい叙述トリックものを、ここまで巧くまとめたアニメ版制作陣の手腕には
素直に拍手を送りたい。

まだご覧になっていない方… とりわけミステリー系や謎解き系がお好きな方には
機会があればご覧になることをお勧めできるだけの良作であると思う。
少々のスプラッタ描写もあるが、そうしたホラー物が苦手な自分でも問題なく
観られたのだから、そんなに構えるようなものではない。
(正直、最終回近くのスプラッタ描写は怖いというよりもむしろ… 唖然…)


ただ、ひとつだけどうしても腑に落ちない点が残るのが…。

「さかきばらくん」の名前が「学校を舞台にした理不尽な死」を連想させるって…
結局どういうこと??
序盤でヒロインの鳴があんなに意味ありげに言っていたので、
他ならぬ鳴本人はその理由を知っているはずなのに、その後全くのスルー状態。
いったい何だ? これ。
(まさか、現実に起こった某事件のことを言っているのでもあるまいし。)

もしかして、アニメ版制作陣の伏線回収漏れ?(投げっぱなしオチ?)
まさか「謎解きの補完は原作小説で!」という高度な販売戦略?
それとも… 本当はあったその謎解きの内容がそっくり抜け落ちる『改ざん』が、
今まさに起こっている… とか?

うわぁ こわっ!
どれがホントの理由でも、こわっっ!

                                     【くぼ太】

◆おまけマンガ
 <『Another』なんちゃってパロ4コマ>
 
 ※ アニメ本編を最後まで観ていない方にはよくわからないかと思われます
Another・③-4コマ
※このほかにも何本か考えていた「赤沢さんネタ4コマ」は…
最終回を観たらなんか描くのをためらっちゃいました… (赤沢さん…)



前回記事はこちらから→『Another』第2回記事

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120403記事-4コマ

『外天楼 (げてんろう)』

「だまされたと思って」 読んでみて!
『外天楼 (げてんろう)』   石黒正数

外天楼・表紙







講談社コミック
定価700円(税別)



いやはや…
なんとも凄い漫画もあったものだ。

自分の語彙の乏しさを暴露するようで何だが、この漫画を言い表すには
ただ「凄い」と言うより他に言葉が見つからない。
それほど、この漫画は「凄い! 凄すぎる!」
まるで埼玉銘菓「○万石饅頭」のTVコマーシャルのようなものである!
(これは埼玉県周辺地域限定ネタか?)

そんな凄すぎる漫画、石黒正数の『外天楼(げてんろう)』は、
昨年10月に単行本が発行されるや既に各方面で高い評価を得ているらしい。
それゆえ、もうお読みになられた方も多いだろうが(むしろ私が読むのが遅すぎた)、
もしもまだご覧になっていない方は、是非一度読んでみていただきたい!と思う。
そう…「だまされたと思って」読んでみて欲しい!
少なくとも私は自信を持ってお勧めする。

この作品について「あらすじ」やら何やらを語るのは意味が無い。
というか、はなはだ無粋である。
本作の「凄さ」を味わうには、実際に作品を読んでいただくしか他にない。
とにかく凄い! 凄いったら凄いのである!

…などと、ひとり興奮気味に「凄い!凄い!」を連呼してばかりなのもどうかと
思うので、以下、これから読まれる方が興ざめにならない程度に、本作について
思うところを書いてみたい。

TVアニメ化もされた『それでも町は廻っている』が代表作である石黒正数は、
ユーモアとペーソスに溢れる人間ドラマから、ミステリー仕立ての推理モノや
少し不思議なSF風ストーリー、あるいはヒネリの効いた風刺画的小品まで、
実に多彩な作品を生み出すことに定評のある漫画家だ。
代表作『それ町』にしても、主人公の女子高生の現実味溢れる日常世界と同時に、
未確認生物やら宇宙人やらの超常現象的世界が当然のように混在する超展開(!)
にもかかわらず、少しも破綻を感じさせず、荒唐無稽な臭いを漂わせることのない
圧倒的な説得力は、作者が稀代のストーリーテラーである証と思う。

そして本作『外天楼』だが… これはまさに、これまでの石黒ワールドの集大成と
言っても過言ではない珠玉の名作である!(少なくとも私はそう思う。)
全9話のエピソードの中に「これでもか!」と詰め込まれた彼の多彩な技の
数々が描き出すストーリーも、世界観も、ホントに凄い!としか言いようがない!

ゴミ置き場からエロ本を入手した少年達がそのエロ本にまつわる真相を大真面目に
追求する様を、作者の十八番とも言える日常推理モノの体裁で軽妙に描き出すと思えば、
家事ロボットとその主人との微妙なすれ違いを、私の好きな作家のひとりである
星 新一のショートショート小説を思わせるような絶妙のオチが用意されたSF短編モノ
として描いてみせたりと、どのエピソードにもみな作者の持ち味が実に見事に凝縮
されている。

そして、そんな九つのエピソードが「外天楼」という建物…「増築と改築を重ねて
迷路のようになった」どこか不思議な猥雑さを感じさせる舞台を器に盛り付けられ、
作者秘伝の「緻密な構成力」というスパイスで全体が整えられて、実に味わい深い
極上の一皿に仕上げられていることは、何とも心憎い限りである。
これを「凄い!」と言わずして何と言おうか!?

外天楼-1
 ※ 各キャラクターのカラー配色は私の想像によるものです

本作は石黒正数ファンにとってはまさに必読の作品であることはもちろん、
彼を知らない方にとっても必ずや十二分に楽しめるだけの力を秘めた作品であると
信じて疑わない。
石黒ファンであるとないとに関わらず、本作をまだ読まれていない方には是非、
一度お読みになってみることを強くお勧めしたい。

本作の一体何が、どう凄いのかをここでつまびらかに出来ないまま、
まるで熱病のように「凄い!凄い!」を繰り返してもはなはだ信憑性に欠けるだろう
ことは当然だし、これでは本作の魅力を十分に伝えきれているはずがないこともまた
当然である。(ある意味、伝えきってはいけないと思うし。)

それでもなお、この『外天楼』という作品に魅せられた者のひとりとしては、
性懲りも無くまるで熱病のように、こう叫ばずにはいられない!

とにかく読んでみて!
だまされたと思って 読んでみて!

…いっそ だまされてみて!

                                           【くぼ太】
「外天楼」記事・4コマ

Appendix

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